「大卒の方が就職に有利」の実態
~どの大学に進学するかが大切!

大学に進学する方のなかには、「将来の就職のため」といった消極的な理由で進学を決める方もいるようです。確かに、新卒採用の応募条件に「大卒」を掲げる企業は多く、就職後の待遇やキャリア形成にも学歴が関わってきます。

医療機関の場合でも、大卒者の給与は、(診療情報管理士、医療事務、他の職種、いずれにせよ)月額で数万円高くなります。

しかし、どの大学に進学にするにせよ、本当に、そうした消極的な理由だけで進学してもうまくいくのでしょうか。この点について詳しく見てみましょう。

写真:2019年度の卒業生

大卒になると生涯賃金は平均で数千万円高くなる

世間では、しばしば、大卒者と高卒者の生涯賃金の違いに目が向けられます。労働政策研究・研修機構などの各種調査によると、大卒者と高卒者の間には男性の場合で3,000万円~4,000万円、女性の場合で5,000~6,000万円の違いがあります。とくに女性の場合に差が大きくなっています。

しかしながら、この数値はあくまで平均値に過ぎません。卒業する大学によっても生涯賃金は変わってくることが考えられます。なかには、「下手に大学に行くぐらいなら、高卒で就職した方がよい」と主張する人もいます。

この点について、どのように考えればよいのでしょうか。あくまで正しいデータに基づき客観的に見てみることが大切です。

(ちなみに、インターネットにあふれる情報は、広告収入目的で素人が書いているものも多く、いわゆる「まとめサイト」にはとくに注意が必要です。「分かりやすい=正しい」ではありません!)

大卒者全員の生涯賃金が上がるわけではない

やや古いデータになりますが、東京大学大学経営・政策研究センターの「大学教育についての職業人調査」(2009年)を用いて島(2018)が分析しています。

この分析によれば、偏差値的には難関とは言えない私立大学卒業者であっても、高卒者との生涯賃金差は約3,400万円で、教育投資収益率は5.0%に達しており、市場利子率と比べても低くありません。十分なリターンが期待できると言えそうです。

ただし、これもあくまで平均値に過ぎません。島がケーススタディを行った非難関の私学文系学部の場合、3人に2人は投資収益率がプラスになっている一方で、3人に1人は投資収益率がゼロかマイナスになっています。

つまり、「適当に勉強して、適当に就職できればよい」と漠然と考えて、適当な大学に進学してしまうと、教育投資に失敗するリスクがあるということです。

どの大学に進学するかが大切!

その点でいえば、本学のように、特定の専門資格の取得をはじめとする明確かつ実践的な教育目標を掲げ、就職率等で実績も上げてきた大学に進学するのであれば、リスクは低いと言えるでしょう(本学科については、以下の記事をご覧ください)。

それであっても、高校生や受験生の方は、進学を検討している大学が自分に合うか合わないかを見極めることが大切です。4年という歳月と多額の授業料を「投資」していることを意識したとしても、「将来のお金のため」では、勉強・研究するモチベーションとして不十分なことが多いからです。

具体的に検討すべきことは、自分の学習意欲が、その大学で勉強・研究するうえで十分なものなのか、そして、その大学で身につけられる能力は自分の夢や希望と一致しているか、などです。

そして、それを検討するための材料となるのが、各大学が定めている「アドミッション・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「ディプロマポリシー」です。「自分に合った大学」を見つけるために、次の記事では、この3つのポリシーの読み解き方を解説します!

※高校生、受験生の方向けの特設ページ(Q&A)はこちら

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