新型コロナウイルス対策
~アルコール消毒剤が入手できない場合の簡便法

疫学統計が専門の瀧口徹教授からの情報提供です。


新型コロナウイルス対策として手洗いが推奨されていますが、肝心のアルコール消毒剤がなかなか手に入らない状況が続いています。ドアノブなどの非生物媒介物(フォーマイトといいます)からの接触感染も考えられます。そこで、ドアノブなどの消毒について、キッチンハイターを用いた「身近で安価でノロウイルスにも効果がある」簡便法をお伝えします(手指は除く)。

トイレや部屋のドアノブなど多数のヒトが触れる非生物媒介物感染はノロウイルスで顕著であり、新型コロナウイルスでも可能性があります。そこで、ドアノブなどまでは薬液がまわらない場合は次亜塩素酸ナトリウムが使えます。

※ただし、手指の消毒は除きます。手指はアルコール洗浄液がベストで、通常の石鹸でも可です。

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」(令和2年3月26日時点版)では、次のように示されています。

(6)手で触れる共有部分を消毒しましょう

物に付着したウイルスはしばらく生存します。ドアの取っ手やノブ、ベッド柵など共有部分は、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きしましょう。

※家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認し、濃度が0.05%(製品の濃度が6%の場合、水3Lに液を25㎖)になるように調整してください。

トイレや洗面所は、通常の家庭用洗剤ですすぎ、家庭用消毒剤でこまめに消毒しましょう。タオル、衣類、食器、箸・スプーンなどは、通常の洗濯や洗浄でかまいません。感染が疑われる家族の使用したものを分けて洗う必要はありません。

洗浄前のものを共有しないようにしてください。特にタオルは、トイレ、洗面所、キッチンなどで共有しないように注意してください。

「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」(令和2年3月26日時点版)

具体的には、どのように、 家庭用塩素系漂白剤を調整すればよいのでしょうか。一例として、花王のサイト「花王の塩素系漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?」に「ハイター」の希釈法が示されていますが、以下がキッチンハイターを用いた簡便な方法です。

ペットボトルによるアルコール消毒液作成

できた薬液で消毒する際には、手袋を使わない方法もあります。

手袋を使わないアルコール消毒1
手袋を使わないアルコール消毒2

なお、上記の花王サイトでは、「次亜塩素酸ナトリウムを含む商品の使用上の注意」が以下のように示されていますので、確認してください。

  • ご使用の際には十分な換気を行い、ご使用後は十分に水ですすいでください。
  • いずれの商品も漂白効果がありますので、衣類などの色落ちにご注意下さい。
  • 金属製品、繊維製品に使用すると、腐食や変色を起こす場合があります。
  • 希釈した液は、次亜塩素酸ナトリウムが分解されやすくなっています。希釈液は保存せず、その都度つくるようにして下さい。

この方法は、ノロウイルスにも効果的です(アルコールはノロウイルスには無効)。ただし、ノロウイルスの場合は0.02%でOKです。ちなみに、カビ取り剤の場合の次亜塩素酸ナトリウム濃度は0.5%で、消毒剤としては濃すぎます。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」でも以下のように記されています。

Q17 ノロウイルスに汚染された可能性のある調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?

A17

一般的な感染症対策として、消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)が用いられることがありますが、ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム※や加熱による処理があります。

調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。

また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。

なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、調理器具を使用の度に洗浄する、熱湯消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意するよう気をつけましょう。

※家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)

厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」

アルコール消毒液が入手できない場合など、多少ともお役に立てれば幸いです。

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