新潟県職員採用(病院経営、病院事務)が変わります!
~医療×経営の学びがますます重要に!

今日の『新潟日報』に「医療職採用に『病院経営』区分新設 新潟県病院局~収支改善の担い手獲得へ」という記事が掲載されています。

県立13病院を運営する新潟県病院局は2022年度の医療職採用に「病院経営」の区分を新設する。本業で赤字が続く病院事業の収支改善に取り組む職員の採用に力を入れる。民間企業との採用競争が激化する中、採用試験の日程や内容を民間と併願しやすいものにすることで多様な人材の獲得につなげる狙いだ。

『新潟日報』2022年1月18日号

本学科学生の採用にはどのような影響があるのでしょうか。具体的に解説します!

2022年度までの採用方法

学科の専門性を活かして新潟県職員を目指す場合、従来は2つの採用ルート(受験区分)がありました(いずれも1次試験は6月実施)。

  1. 一般行政(病院)
  2. 病院事務

1の「一般行政(病院)」では、第1次試験で、公務員試験特有の教養試験と専門試験が課されます。いずれの試験の出題分野も一般行政職と同様であるため、民法や行政法、経済原論などの公務員試験対策を十分に行う必要がありました。

本学科の学生にとっては、医療・IT・経営のさまざまな専門資格を取得し、さらに発展的な学びを深めていく一方で、公務員試験対策を行わなければならず、非常にハードルが高い採用区分でした。

職務内容は以下の通りです。

病院局の本庁又は県立病院等で、病院経営の企画立案、予算・経理・庶務等の病院事務や、医療施策の企画立案等の業務に従事します。

「令和3年度受験案内」

他方で、2の「病院事務」は、受験資格が3年以上の職務経験者か診療情報管理士取得(予定)者に限られており、第1次試験の内容がSPI3(能力検査)のみで、公務員試験の勉強は不要でした。実際、本学科では、毎年合格者を出してきました。

職務内容は以下の通りです。

県立病院または病院局本庁で、病院機能の改善、患者サービスの向上、収支改善等のための企画・実践、診療報酬等の業務に従事します。

「令和3年度受験案内」

待遇を見てみると、大卒初任給はいずれも18万8,700円(2021年4月1日現在)で行政職と同等です。

2023年度からの採用方法~医療職のなかに「病院経営」区分が新設

『新潟日報』の記事にあるように、そして、本学科ブログでも何度も取り上げてきたように(たとえば、この記事)、県立病院などの公的病院では、病院経営が厳しさを増すなかで、病院経営をも支えられる専門的な医療事務職が強く望まれています。新潟県では 「一般行政(病院)」 の区分でそうした人材を確保しようとしてきたと言えます。

しかし、前述の通り 「一般行政(病院)」 では公務員試験対策が必須となり、「一般行政」などの他の区分との併願ができないため、ハードルが高い受験区分でした。さらに、「採用スケジュールが民間企業と比べて数カ月遅いことから受験者が少なく、採用に苦戦して」いました(『新潟日報』)。

そこで、2023年度からは、 大卒程度の者を対象に、「一般行政( 病院)」に代わり、医療職のなかに「病院経営」の受験区分が設けられることになりました。

この新たな区分では、第1次試験がSPI3のみとなり、教養試験・専門試験がなくなります。試験時期も4月下旬に前倒しされます。ただし、事前課題としてアピールシートを作成し、試験当日に提出することになります。第2次試験では、面接試験(集団討論面接・個別面接(2回))が実施されます(新潟県「新たな試験区分『病院経営』を新設しました!」より)。

待遇は、これまでと同様、一般行政職と同等です。

他方で、「病院事務」の採用区分では、受験資格が「3年以上の職務経験者」のみとなります(新潟県「令和4年度 新潟県立病院医療職 採用選考考査総合案内」より。OB・OGの方は要チェックです!)

( 新潟県「新たな試験区分『病院経営』を新設しました!」より )

新潟県職員「病院経営」区分の受験に向けて

したがって、大卒の新卒人材として新潟県に入職するためには、これまで以上に、診療情報管理士などの資格取得だけでは不十分になります。

「病院経営」 の試験では、「病院経営に関する知識は求めない」とされていますが、本学科の学生としての強みをアピールするためには、どうすればよいのでしょうか。たとえば、本学科ならではの医療×経営(さらにはIT)を組み合わせた幅広い学びのなかで、いかに主体性を発揮して自分の強みを培い、具体的な活動に結びつけてきたのかを訴えることができそうですね。

最後に、元新潟県職員で歯科医師の石上和男教授からのコメントです。

病院局がいよいよ病院経営に関する正規職員を採用しなければならなくなったという状況になったことを意味し、わが学科卒業生の門戸が開けると考える必要があります。

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