こんにちは。広報担当教員の前田理歩です。みなさん、「自己決定」という言葉を聞いたことはありますか? 自己決定というと、誰からも影響されず、一人で自分自身について自分で決定することだと思われるかもしれません。
確かに、ひとりの人やひとつの情報に影響されて何かを決めるのであれば、「自己決定している」とは到底言えないでしょう。わたしたちは、そうした場合、「支配されている」と捉えています。
しかし、みなさんも「あなたは自由だ。自分で決めなさい」と言われて、はたと困った経験はありませんか。外部の影響を受けると「支配」になり、かといって、外部の影響を受けなければどう「決定」してよいのか分からない……。
では、どうすれば「自己決定」でききるのでしょうか。結論から言えば、自己決定のためには、「できる限り多くの」人や情報に接し、影響されることが大切です。
ひとつのものに影響されるならば、それは「支配」となります。しかし、多くのものに影響されるのであれば、それは「どれにも支配されていない」ことになります。
つまり、「自己決定」とは、多くの人と接し、多くの情報を得て、多くの情報に影響されて、はじめて可能になるものです(詳しくは、大学の人文社会系の講義から学んでください!)。
自己決定による進路決定はとても重要
私たち教員もまた、いろいろなところで人と接し、さまざまな情報を集め、研究をしたり、教育をしたりしています。受験生の皆さんにどのような情報を提供すれば良いのかを考える際も同様です。
そこで、私たちの学科では、新入生にアンケートに協力してもらい、新入生がどこからどのような情報を入手し、受験と入学に至る自己決定を行ったのかを調べています。
この自己決定は、進路選択の際にきわめて重要になります。というのも、いくつかの研究が明らかにしているように、自己決定によって進学した場合は、進学後の学校にうまく適応でき、精神的にも健康な生活が送れる傾向にあるからです。
とりわけ、私たちの学科は、医療・IT・経営と幅広い学びと将来の選択肢を用意していることから、学生の自己決定力がとりわけ重要となります。したがって、進路選択の段階から、自己決定を促すための情報発信を考えています。
本学科の新入生の自己決定力を支えた情報は?
新入生アンケートの結果では、ほとんどの学生がオープンキャンパスに参加しており(ただし、一般入試・センター試験利用者を除く)、オープンキャンパスで、「学科カリキュラム」や「資格・仕事内容」に加えて、「教員と学生の距離の近さ」にも魅力を感じ、本学科を選択していました。
就職率や資格取得状況などといった客観的な情報は、大学パンフレットや公式サイトでも得ることができます。しかし、オープンキャンパスに参加して、大学や大学生活の雰囲気や環境を感じ取り、教職員や在学生に触れることで得られる「無形の情報」こそ、自己決定に不可欠です。
というのも、積極的な自己決定をもたらすものは、論理や理性よりは、感覚や感情であり、具体的には「自分もこうなりたい」という主観的な感情だからです。
本学科の入学の決め手は?(複数回答)
1位 カリキュラムの幅広さ 62.3%
2位 就職状況が良い 46.8%
3位 カリキュラムと自分の関心が一致 39.0%
4位 オープンキャンパスの雰囲気 32.5%
5位 資格試験対策が充実している 24.7%
6位 学生と教員の距離が近い 20.8%
もちろん、主観的な感情に流されるだけでは、誤った選択をしてしまうこともあります。とりわけ、進路決定は人生にとって一大事ですから、客観的な情報もしっかり集めることは欠かせません(たとえば、就職率は分母が重要です!)。
新入生も、オープンキャンパスに次ぐ情報の入手先として、大学パンフレットや公式サイトをあげています。
しかし、進路選択にまだ迷っているならば、ぜひ、さまざまな大学、さまざまな学部・学科のオープンキャンパスへ参加してみてください! (本学科もお忘れなく!)
最後に~多様なモデルを発信します!
とはいえ、今回のアンケートでも、一般入試・センタ試験利用による入学者のオープンキャンパス参加率は高くありませんでした。また、今年度は来場型のオープンキャンパスが開催できていません。
そこで、本学科では、すべての新入生に「こうなりたい!」という気持ちをもって入学してもらえるよう、オープンキャンパスのみならず、ブログやSNSなどのメディアを活用し、学生生活や学びの「多様なモデル」を数多く発信しています。
もちろん、資格取得率や就職率、学びのプロセスに関する情報に関する客観的なデータも今以上に公表し、透明性を確保していきます。
1人でも多くの学生さんが、主体的・積極的に「この学科に入学したい!! この学科で学びたい!!」と思ってもらえるように、力を入れていきます。