連携総合ゼミに参加!
~患者さんとの対話を実践する

こんにちは。学科の4年生です。8月31日から9月4日に開催された連携総合ゼミに参加しましたので、その報告をします。

連携総合ゼミは、新潟医療福祉大学で行われている「多職種連携教育」の集大成として位置づけられており、4年次の夏休みに開講されています。

今年は、新型コロナウイルスの影響で全面オンラインでの開催となりました。

(今回のゼミは、理学療法士の大学院生(留学生)と作業療法学科、看護学科の方とチームを組みました!)

事例紹介

私が所属したゼミは、脳性麻痺の当事者である斎藤直希さんに患者役を務めて頂き、実際にご本人が経験された右上腕骨頚部複雑骨折により入院されたケースを扱いました。そして、齋藤さんとの対話を通して、多職種での支援策を考えました。

(ご本人の了解を得て、実名表記としています。)

今回のケースはさらに、入院中にこれまで日常生活のすべてにおいて介助を担当していた母親が脳梗塞を発症し入院してしまったことにより、退院後に母親からの介助も見込めなくなり、さまざまな社会資源を活用した自宅復帰の支援策が求められました。

対話で心がけたこと

私は、相手の立場や状況に立って物事を考え、共感することでより良い支援が可能になると考えています。

そこで、今回は、脳性麻痺を患っておられる齋藤さんの立場から物事を考え、「このような対話をしてみたい」とか「こんな質問が来たら嬉しい」といったような視点から、齋藤さんへ質問をし、対話を行うことを心掛けました。

(写真:齋藤さんは右下です!)

対話のなかで、どう支援すれば人生そのものを支えることになるのかを考えた場合、心身や生活の状況を客観的に把握するだけでは不十分であることを実感させられました。

たとえば、齋藤さんの主観的なQOLをお伺いしたところ、10段階評価で入院前は9か10であったとのことでした。そして、これまで二人三脚で生きてきた母親の入院により、それまでの生き方が崩れた結果、主観的なQOLは限りなくゼロになってしまったとおっしゃっていました。これは、客観的なQOLの測定からは出てきません。

支援プランの作成

そこで、私たちのゼミでは、単に自宅で生活ができるためのリハビリや支援を超えたプランの作成に努めました。そのためには、齋藤さんの人生にとことん関心を持って、齋藤さんの考えや思いを毎日、数時間ずつ聞き取っていく必要がありました。

そこで、私は、齋藤さんにできる限り負担を掛けず、効率的に質問ができるように、ゼミのメンバーとの話し合いで出た質問を、ウェブツールを使ってまとめ直して、それぞれの質問のつながりが誰が見ても分かるようにしました。

また、パワーポイント作成の際には、図表の作り方や構成の仕方など、私自身が持っているパワーポイント作成の知識をメンバーと共有することで、見やすい発表資料の作成にも貢献しました。

作成したプランについては、齋藤さんからフィードバックを頂き、制度面での理解など足りないところもありましたが、齋藤さんからは、次のように評価して頂きました。

「専門性を生かした他職種へのアプローチも踏まえ、連携を重視した支援プランが完成されました。それは、きちんと対話と向き合い、それを咀嚼し、自らの頭で考えて、学生の皆様同士で、連携を取れた話し合いができた結果だからだと思います。介助する側・される側の負担も考えた持続可能性の高い支援プランになっており、私の生活の QOLも自然と上がっていきます。」

後輩の皆さんへ

私は他学科の方々と関わった経験があまりなく、「多職種連携」という言葉を聞いた時、「果たしてうまくできるのだろうか」と不安でした。

しかし、ゼミのメンバーと意見を出し合い、資料を作成していくうちに、お互いの職種についての理解が深まり、さらには、逆に、齋藤さんがご自身を「社会実験の対象」と位置づけて「学び続ける」生き方に大きな影響を受けました。

今となってはとても良い経験だったと感じています。

「多職種連携」という言葉にとらわれ過ぎずに、自分自身がやるべきことをやりつつ周りに気を配り、相手の意見に耳を傾けるということを心掛ければ上手く行くと思います。

頑張ってください! 応援しています!


【参考1】プレスリリースはこちら

【参考2】大学公式twitterでも動画で紹介!

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