今回は、「『私なんて大したことない』鳥取の大学病院にいる受付のプロ」という記事を、みなさんにご紹介したいと思います。
現在、就職について悩んでいる人、医療現場での就職を考えている人にとっても、心がぐっと動かされる記事となっています。
大学病院の受付業務(外来クラーク)は、従来、非正規雇用(パートや派遣)の医療事務職でした。したがって、本学の卒業生の就職先にはなっていません。
しかし、近年は、そうした受付業務でも、その重要性が認められ、頭角をあらわす人材を正規雇用化(正職員化)する動きが見られており(皆さんのライバル!)、本記事はその一例です。
もちろん、非正規雇用の職員が全員、正規雇用(正職員)になれるわけではありません。この記事に登場する鷲尾さんは、 職業訓練校で医療事務の初歩を勉強して、非正規で大学病院に就職しながらも、向上心を発揮し、周りからの信頼を獲得し、正規雇用の職を勝ち取られました。
この鷲尾さんの姿勢に、皆さんも大いに学ぶべきです。「自分は大卒の正職員として就職できるのでよい」のではありません! 大切なのは仕事に向き合う姿勢です。そこでは、大学卒であろうと専門学校卒であろうと違いはありません。
記事には、鷲尾さんの以下のような内容が記載されています。
- 仕事選びの基準~人と話すことが好き~
- カルテの内容さえわからないままスタート
- 多くの資格を取得~知識を習得しようという向上心~
- 外来クラークの非正規から正規雇用化への動き
- 誰もがなれる訳ではない~どんどん知識を吸収したいという意欲を大切にしたい~
- 外来クラークを引っ張っていくために~診療情報管理士の資格~
- 「大したことないですよ、当たり前のことです」
など、鷲尾さんの経験から基づいたストーリーが描かれています。
クラークとして仕事を始めて、さまざまな資格を取得し、今度は、診療情報管理士にもチャレンジされるようです。現場からのたたき上げで、「病院総合職」としてのキャリアを形成されています。
このように、短期間の通信教育や職業訓練校のような医療事務の初歩的な勉強しかしないところならばなおさら、大病院で正職員として働くというのは、狭き門です。大卒ならば正職員として大病院に就職できるといっても、それで順調なキャリア形成が保証されるわけではありません(あらゆる仕事がそうです!)。
そこで大切なのは、本記事にあるように、本当に能力があること、やる気があること、どんどん知識を習得したいという意欲があることです。そうしたものを持ち合わせた人材に「やりがいのある仕事」が任され、そして本人も楽しく仕事ができるのでしょう。
そして、何より、鷲尾さんが、誰と出会い、どんな環境にいるか、そこで何を感じているかを意識しながら読んでみてください。
鷲尾さんの姿勢は、就職だけではなく、大学生活においても大切であることがわかるでしょう。毎日を丁寧に過ごすからこそ、将来の自分の仕事が見つかる「チャンス」や「きっかけ」が生まれるのです。
(出所)
田崎健太「『私なんて大したことない』鳥取の大学病院にいる”受付のプロ”」(PRESIDENT Online, 2020年5月18日)